台北機廠という産業遺産が国家鉄道博物館へと転換されるプロセスは、知識と空間を再構築する取り組みです。したがって博物館のマスタープランは、元来の空間的文脈や場の精神を継承しつつ、「生きた鉄道博物館」というコアバリューに基づいて進められています。
国家鉄道博物館の計画は、「場の形成」から始まり、文化財建築、機械設備、軌道システムといった要素を統合的に整理することで、準備期間および将来の運営において必要とされる機能を備えた空間へと転換を図っています。また、空間整備を進めると同時に、鉄道博物館が備えるべき「研究・収蔵」「運転・保守」「展示・教育」「公共サービス」といった各機能を対外的に展開・充実させることで、現代の博物館に求められる社会性、公共性、および持続可能性という目標の達成を目指します。
研究・収蔵
- 統合型テーマ研究: 鉄道を軸として、科学、文化、歴史といった中核的要素から、さらに音、ジェンダー、エスニシティ、トランスナショナルな視点など多様なテーマへと展開していき、鉄道の背景にある多層的な意味を掘り起こし、その全貌を捉えるための知識研究データベースを段階的に構築していきます。
- 収蔵計画:博物館の運営に伴うコレクションポリシーに基づき、鉄道車両や軌道システム、関連する工学技術資料、模型、公文書・図面類を収蔵していきます。あわせて、鉄道文化の発展に関わる切符、ポスター、芸術作品、映像・音声資料、図書・文献資料の収集を行うとともに、園内に保存されている機械設備などの貴重な遺産も管理します。これら豊富なコレクションを、研究、展示、および公共サービスのニーズを支える柱とし、さらなる研究成果や知識交流を生み出していきます。

公共サービス
- 市民の参加と都市生活の共創
参加型アプローチを通じて、様々なコミュニティ、専門団体、国内外の関連組織、各分野の市民との対話や交流を行い、相互理解を深めることで、協力体制とリソースのネットワークを構し、鉄道文化遺産の保存価値を最大化することを目指していきます。
- 来館者への奉仕
来館者のニーズ調査や行動研究を通じて、多様かつ来館者に寄り添った展示・イベント、および各種支援サービスや施設を整備していきます。また、サービス品質や満足度に関する調査を継続的に実施し、博物館の各業務にフィードバックしていきます。
- コミュニティとの連携
地域コミュニティ、領域横断的な専門コミュニティ、一般市民との対話・交流を含め、国内外の諸施設との協力体制やリソースのネットワーク構築を図ります。
- 広報・出版
ドキュメンタリー、専門書、絵本、年報などの出版計画を推進するとともに、ソーシャルメディアを通じて、広報や博物館ブランドイメージの構築を進め、鉄道関連の文化クリエイティブ産業を発展させていきます。
展示・教育
- 場の精神を継承し、台湾鉄道の文化を紐解く
「鉄道資源」を核に、社会・文化・科学技術の3つの切り口から、台北機廠の元来の空間的文脈が持つ場の精神に合わせて、鉄道の歴史、文化、技術を中心テーマとして展示を展開します。そこから台湾の人びとが持つ鉄道の記憶、鉄道と現代生活、鉄道の生命史などを明らかにしていきます。

運転・保守
- 車両の静態動態展示や入れ替え、旅客サービスの再現などを通じて、園内の軌道システムの整備や車両の保守点検といった日常的業務もまた、博物館の展示の一部として位置づけていきます。
