【基本方針】
国家鉄道博物館の計画、設立にあたっては、産業遺産としての歴史や文化的背景を尊重し、「全区域整備・区域別修復・段階的オープン」を基本方針とします。マスタープランはローリング方式を採用し、適宜見直し、修正を加えていきます。園内の線路の修復、資料や車両の購入・収集を進めると同時に、ソフト面では調査研究計画の実施、鉄道文化資源の収集、他館との連携、展示や教育普及活動などの企画・運営に取り組み、社会との対話と交流を大切にしていきます。
段階的オープン方式を採用するにあたり、各段階の計画には、それぞれ異なる機能と役割を割り当てていきます。2027年には運営を行政法人に移行し、博物館の中核となる事業を本格的に始動。メイン展示エリアや食堂車、鉄道関連の文化クリエイティブ商品といった施設やサービスを通じて、「生きている鉄道博物館」としての姿をお見せします。あわせて、国定古蹟(国が定める文化財)である台北機廠の建築や保存車両の整備を継続し、資料や車両のコレクション、研究実績を充実させていきます。さらに多種多様な展示を通して、鉄道の文化・技術・歴史の本質的な価値を、国家鉄道博物館という場において表現することを目指します。
【短期計画】
台北機廠から国家鉄道博物館への転換に対する社会の期待に応えるため、2024年には北側エリアの整備を段階的に完了する予定です。市民大道側の景観整備工事が完了し、フェンスが撤去されると、総合事務棟、職員浴場、大講堂、ディーゼル機関車工場など、修復を終えた歴史建築の姿をご覧いただけるようになります。さらに、新たに整備する遊歩道と緑の回廊を博物館周辺の空間とつなげ、これまでの鉄道工場の閉鎖的なイメージを一新します。2025年には園内の線路と踏切の工事を終え、総合事務棟、職員浴場、大講堂、ディーゼル機関車工場において、常設展や復元展、特別展などを企画し、常時公開する予定です。また修復した線路を使って、車両の動態展示や乗車体験を提供。「生きている鉄道博物館」を期待する声に応えて、鉄道博物館の基本的な運営モデルを示していきます。

【中期計画】
2027年より、運営を国家鉄道博物館準備処から行政法人に移行。それまでに公開したエリアに加えて、博物館の中核となる事業を本格的に始動します。園内最大の規模にして、最も魅力あるメイン展示エリア「組立工場」のオープンもそのひとつです。ここでは園内の軌道システムと連携して、各テーマに合わせた収蔵車両を展示するとともに、世界の他の鉄道博物館では実現が難しい、定期的な車両の展示入れ替えシステムを実現します。また、園内の東西を結ぶ鉄道の乗車体験や食堂車、リアルとバーチャルを融合した鉄道シアターを導入し、インタラクティブな展示を充実させていきます。さらに、園内の遊歩道を周辺道路とつなげることで、歩行者のアクセシビリティや地域との交流を向上。近隣の生活との結びつきを創出しながら、将来の博物館の運営をより開かれたものとし、さらに豊かで多様なサービス・体験を提供します。こうした取り組みを通して、鉄道文化の魅力を表現し、皆さまに親しみを持っていただける博物館を目指します。

【長期計画】
行政法人国家鉄道博物館は、「生きている鉄道博物館」をコンセプトに、国定古蹟(国が定める文化財)という特色や、車両の展示入れ替えシステムを活かし、何度も訪れたくなる博物館を目指します。さらに研究機能を充実させ、展示、教育、普及活動を通じて、文化財である台北機廠を「台湾の特色を備え、アジアをリードし、世界から注目される」鉄道博物館へと生まれ変わらせます。
運営面においては、持続可能性という観点から、保存空間を活用した外部委託運営を推進し、安定的な運営を図ります。また立地の特性を活かして、他館との交流や異業種連携などを展開。鉄道博物館の役割や存在感を広めるとともに、近隣の松山文創園区、台北文化体育園区、国父紀念館などの施設とパートナーシップを構築し、文化クリエイティブ事業、スポーツ、文化資産といった異なる分野を結びつけることで、台北市に新たな大規模公共空間および重要な文化拠点を築きます。これにより、現代都市のなかで鉄道産業遺産と博物館の知識体系を再構築し、人びとが集い、交流する博物館園区の創設を目指します。
